nao.の最高のランチ「LA TOUR D'ARGENT」
最近、気に入っているのがグランメゾンクラスの一人ランチ。あまりお一人様OKなお店は多くはないのですが、「きっと、ここは大丈夫」と確信があり、ずっと行きたいと思い焦がれていたグランメゾンがあります。

「LA TOUR D'ARGENT」。
「銀の塔」を意味するこのお店の歴史を紐解けば、数々のエピソードがあるのですが、有名な話を挙げると、やはり「三皇帝の晩餐」や「鴨のナンバリング」の話でしょうか。1867年6月7日、パリ万博に訪れていたロシア皇帝アレクサンドル2世と同皇太子、プロシア皇帝ギョーム1世と宰相ビスマルクによってラ・トゥールダルジャンにて行われたのが、歴史に名高い「三皇帝の晩餐」。このことがきっかけで生まれた料理の『トゥールダルジャン特製 フォアグラ三皇帝風』は、まさに至宝の料理と言えます。
また手掛けた鴨一羽一羽に番号をつけるという試みは、当時の名支配人フレデリック・ドゥレールによって始められ、現在も受け継がれています。1921年に当時、皇太子であられた昭和天皇が召し上がったのが、53,211羽目の鴨だそうで、それに由来して世界で唯一の支店となるこの東京店では、53,212からのナンバリングをしているそうです。
今回、私の心を動かしたのは、この東京店が開業30周年という節目にあたり、期間限定のコースを開催していると知ったからです。東京店30年間の歴史の中で特に人気の高かったメニューの復刻、エグゼクティブシェフRenaud Augier(ルノー・オージエ)の新作、パリ本店伝統のシグネチャーメニューという三本柱で構成した特別メニューはとても心惹かれる料理で、今回の初訪問となったわけです。

メインダイニングへと続く暗めの通路には青絨毯が敷かれ、まさにグランメゾンという名に相応しい重厚な雰囲気。通路を抜けると、騎馬姿のアンリ4世の肖像画が迎えてくれます。またあの有名な「三皇帝の晩餐」のテーブルセッティングや多くの銀食器が飾られており、一つ一つエピソードを聞いてみたいところ。
すぐ通されたメインダイニングはかなり明るく、開放感もあって、とても素晴らしい。夜にはキャンドルも灯るようで、とてもロマンチックな感じになるでしょう。
料理は『L’esprit du temps』(時のエスプリ)という「LA TOUR D'ARGENT」の伝統と進化を楽しめるコースだそうで、ランチでは2種コースあるのですが、今回はちょっと我儘を言って、料理を変えていただきました。
実食

アミューズ『ジロール茸のフラン』
可愛いらしい一口サイズのフラン。旬のジロール茸は、こんな小さなサイズでもちゃんと濃い味がして、美味しい。

『トゥールダルジャン特製 フォアグラ三皇帝風』
本来の『フォワグラのアンブロワジー 花梨とソーテルヌワインのジュレ』と差し替えていただいたこのお店の至宝とも言えるパリ本店の伝統のシグネチャー料理。憧れていた料理の一つでもあります。
左にソーテルヌのジュレ、右にポートワインのジュレがのみが乗せられてお皿が出され、目の前でまるでアイスクリームを掬うようにスプーンで供されるガチョウのフォワグラ。まずは、驚く!たっぷりと入ったトリュフの量、ヴェルヴェットのような滑らかさ、その圧倒的な濃厚さに!非常に美味しい♥︎ テリーヌの王者だと思います。

『帆立貝のモザイク仕立て オシェトラキャビア添え』
東京店30年間の歴史の中で特に人気の高かったメニューの復刻というのが、この料理。最初の1年に創作した料理だそうで、フランスで“ナクレ”と呼ぶ美しい“真珠の色”に拘った火入れと香ばしく焼き色を付けた火入れをした帆立貝を楽しめます。周りを彩るのは、黄色と緑の二色のズッキーニとニンジン。ソースはエシャロットを炒め、魚の出汁を加えたベースに白ワインを加えて煮詰めたバンブランソースで、少し酸味があります。これが帆立貝の甘みとキャビアの塩気によく合います。

『コンソメ マドリエンヌ 秋の味覚と共に』
まずはシャントレル茸・根セロリ・ビーツが入れられたスープ皿が供され、目の前で銀食器に入れられたコンソメが注がれます。これが素晴しくよい香り♪
鴨のガラにトマトやセロリなどを入れて作られたコンソメで、想像よりも遥かに滋味溢れる味わい。うーん、さほど好みではなかったかな。

『幼鴨フィレ肉のロースト マルコポーロ』
このお店の伝統のスペシャリテである『幼鴨のロースト マルコポーロ』を再構築した料理。元々、この料理はミシュランで1952年に二つ星になったことがあり、その際に当時のオーナーであったクロード・テライユがアフリカの南東に浮かぶマダガスカル島に旅した際に持ち帰ったピンクとグリーンの胡椒に、黒と白の胡椒を加えた4種の胡椒が織りなすソースで味わう料理。この料理によってわずか1年で三ツ星に返り咲いたというエピソードを持っているそうです。再構築したのは付け合わせの方で、根菜、黄色と緑の二色のズッキーニをミルフィーユ状にして、ピンクとグリーンの胡椒で飾っています。
これはスペシャリテの名に恥じない美味しさですね。鴨の脂肪面はカリッとした焼き上がりで、肉の部分は噛み締める度にジューシーさを感じます。ソースは4種の胡椒を使っているとのことですが、非常に上品な刺激で美味しい。実は、野菜の方がかなり刺激的。

勿論、「鴨のナンバリングカード」もいただきました。私のナンバーは231554です。

『洋梨のヴィ パリジェンヌ』
本来ならば、栗を使ったものだったのですが、あまり栗が好きでないので、変えていただきました。洋梨のクレームの中にフレッシュの洋梨を入れ、2枚のシュクルダールで飾ったもの。洋梨の香りもちゃんとして、かなりの甘さがあります。

『フロマージュ』
コースにはないですが、ワゴンで運ばれてきた10種くらいの『フロマージュ』。クリーミーなものを選んでいただき、2種オーダー。うーん、濃厚…。とてもワインなしでは食べられないので、ソムリエの方に貴腐ワインをお願いしました。で、出されたのが『Chateau Doisy-Daene (シャトー ドワジ=ディーヌ)』。蜜のような甘さ、余韻に浸れます。

『コーヒーと小菓子』
食後の小菓子も抜かりなく。コーヒー以外にも紅茶とハーブティーが選べます。実はフレンチでコーヒーを飲むようになったのも、ここ「LA TOUR D'ARGENT」が始まりらしい。だからかなり力を入れており、ホテル内のどこでも飲めないブレンドなんだそうです。でも…あまりコーヒー好きではないので、ハーブティーにしちゃいました。

スタッフも多く、サービスはさすが「LA TOUR D'ARGENT」といったところ。提供する際に、一呼吸置くスタイルは全スタッフに共通していたことで、料理の提供スピードも食べる側に合わせてくれます。豪華なグランメゾンの雰囲気に吞まれるかと思いましたが、意外にもリラックスして楽しむことができました。ドレスコードも緩くなってタイ着用ではなくなり、メインダイニングでの撮影はNGだったのが、OKになりました。あまりパシャパシャとシャッター音が響くのはどうかと思いますが(私のは無音なのです)、食べ歩きを趣味とされてらっしゃる方には嬉しいことかと思います。
今回はコースにしましたが、好きな料理をアラカルトでオーダーしても金額的にはさほど変わらないような気がします。オリジナルのシャンパーニュ『シャンパーニュ・ラ・トゥールダルジャン・ブラン・ド・ブラン』も気になり、不定期開催のランチは料理・雰囲気・サービスを考えるとなかなかリーズナブルだと思えてしまいます。ちょくちょく行くことはできないですが、必ず再訪したいお店です。
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「LA TOUR D'ARGENT」。
「銀の塔」を意味するこのお店の歴史を紐解けば、数々のエピソードがあるのですが、有名な話を挙げると、やはり「三皇帝の晩餐」や「鴨のナンバリング」の話でしょうか。1867年6月7日、パリ万博に訪れていたロシア皇帝アレクサンドル2世と同皇太子、プロシア皇帝ギョーム1世と宰相ビスマルクによってラ・トゥールダルジャンにて行われたのが、歴史に名高い「三皇帝の晩餐」。このことがきっかけで生まれた料理の『トゥールダルジャン特製 フォアグラ三皇帝風』は、まさに至宝の料理と言えます。
また手掛けた鴨一羽一羽に番号をつけるという試みは、当時の名支配人フレデリック・ドゥレールによって始められ、現在も受け継がれています。1921年に当時、皇太子であられた昭和天皇が召し上がったのが、53,211羽目の鴨だそうで、それに由来して世界で唯一の支店となるこの東京店では、53,212からのナンバリングをしているそうです。
今回、私の心を動かしたのは、この東京店が開業30周年という節目にあたり、期間限定のコースを開催していると知ったからです。東京店30年間の歴史の中で特に人気の高かったメニューの復刻、エグゼクティブシェフRenaud Augier(ルノー・オージエ)の新作、パリ本店伝統のシグネチャーメニューという三本柱で構成した特別メニューはとても心惹かれる料理で、今回の初訪問となったわけです。

メインダイニングへと続く暗めの通路には青絨毯が敷かれ、まさにグランメゾンという名に相応しい重厚な雰囲気。通路を抜けると、騎馬姿のアンリ4世の肖像画が迎えてくれます。またあの有名な「三皇帝の晩餐」のテーブルセッティングや多くの銀食器が飾られており、一つ一つエピソードを聞いてみたいところ。
すぐ通されたメインダイニングはかなり明るく、開放感もあって、とても素晴らしい。夜にはキャンドルも灯るようで、とてもロマンチックな感じになるでしょう。
料理は『L’esprit du temps』(時のエスプリ)という「LA TOUR D'ARGENT」の伝統と進化を楽しめるコースだそうで、ランチでは2種コースあるのですが、今回はちょっと我儘を言って、料理を変えていただきました。
実食

アミューズ『ジロール茸のフラン』
可愛いらしい一口サイズのフラン。旬のジロール茸は、こんな小さなサイズでもちゃんと濃い味がして、美味しい。

『トゥールダルジャン特製 フォアグラ三皇帝風』
本来の『フォワグラのアンブロワジー 花梨とソーテルヌワインのジュレ』と差し替えていただいたこのお店の至宝とも言えるパリ本店の伝統のシグネチャー料理。憧れていた料理の一つでもあります。
左にソーテルヌのジュレ、右にポートワインのジュレがのみが乗せられてお皿が出され、目の前でまるでアイスクリームを掬うようにスプーンで供されるガチョウのフォワグラ。まずは、驚く!たっぷりと入ったトリュフの量、ヴェルヴェットのような滑らかさ、その圧倒的な濃厚さに!非常に美味しい♥︎ テリーヌの王者だと思います。

『帆立貝のモザイク仕立て オシェトラキャビア添え』
東京店30年間の歴史の中で特に人気の高かったメニューの復刻というのが、この料理。最初の1年に創作した料理だそうで、フランスで“ナクレ”と呼ぶ美しい“真珠の色”に拘った火入れと香ばしく焼き色を付けた火入れをした帆立貝を楽しめます。周りを彩るのは、黄色と緑の二色のズッキーニとニンジン。ソースはエシャロットを炒め、魚の出汁を加えたベースに白ワインを加えて煮詰めたバンブランソースで、少し酸味があります。これが帆立貝の甘みとキャビアの塩気によく合います。

『コンソメ マドリエンヌ 秋の味覚と共に』
まずはシャントレル茸・根セロリ・ビーツが入れられたスープ皿が供され、目の前で銀食器に入れられたコンソメが注がれます。これが素晴しくよい香り♪
鴨のガラにトマトやセロリなどを入れて作られたコンソメで、想像よりも遥かに滋味溢れる味わい。うーん、さほど好みではなかったかな。

『幼鴨フィレ肉のロースト マルコポーロ』
このお店の伝統のスペシャリテである『幼鴨のロースト マルコポーロ』を再構築した料理。元々、この料理はミシュランで1952年に二つ星になったことがあり、その際に当時のオーナーであったクロード・テライユがアフリカの南東に浮かぶマダガスカル島に旅した際に持ち帰ったピンクとグリーンの胡椒に、黒と白の胡椒を加えた4種の胡椒が織りなすソースで味わう料理。この料理によってわずか1年で三ツ星に返り咲いたというエピソードを持っているそうです。再構築したのは付け合わせの方で、根菜、黄色と緑の二色のズッキーニをミルフィーユ状にして、ピンクとグリーンの胡椒で飾っています。
これはスペシャリテの名に恥じない美味しさですね。鴨の脂肪面はカリッとした焼き上がりで、肉の部分は噛み締める度にジューシーさを感じます。ソースは4種の胡椒を使っているとのことですが、非常に上品な刺激で美味しい。実は、野菜の方がかなり刺激的。

勿論、「鴨のナンバリングカード」もいただきました。私のナンバーは231554です。

『洋梨のヴィ パリジェンヌ』
本来ならば、栗を使ったものだったのですが、あまり栗が好きでないので、変えていただきました。洋梨のクレームの中にフレッシュの洋梨を入れ、2枚のシュクルダールで飾ったもの。洋梨の香りもちゃんとして、かなりの甘さがあります。

『フロマージュ』
コースにはないですが、ワゴンで運ばれてきた10種くらいの『フロマージュ』。クリーミーなものを選んでいただき、2種オーダー。うーん、濃厚…。とてもワインなしでは食べられないので、ソムリエの方に貴腐ワインをお願いしました。で、出されたのが『Chateau Doisy-Daene (シャトー ドワジ=ディーヌ)』。蜜のような甘さ、余韻に浸れます。

『コーヒーと小菓子』
食後の小菓子も抜かりなく。コーヒー以外にも紅茶とハーブティーが選べます。実はフレンチでコーヒーを飲むようになったのも、ここ「LA TOUR D'ARGENT」が始まりらしい。だからかなり力を入れており、ホテル内のどこでも飲めないブレンドなんだそうです。でも…あまりコーヒー好きではないので、ハーブティーにしちゃいました。

スタッフも多く、サービスはさすが「LA TOUR D'ARGENT」といったところ。提供する際に、一呼吸置くスタイルは全スタッフに共通していたことで、料理の提供スピードも食べる側に合わせてくれます。豪華なグランメゾンの雰囲気に吞まれるかと思いましたが、意外にもリラックスして楽しむことができました。ドレスコードも緩くなってタイ着用ではなくなり、メインダイニングでの撮影はNGだったのが、OKになりました。あまりパシャパシャとシャッター音が響くのはどうかと思いますが(私のは無音なのです)、食べ歩きを趣味とされてらっしゃる方には嬉しいことかと思います。
今回はコースにしましたが、好きな料理をアラカルトでオーダーしても金額的にはさほど変わらないような気がします。オリジナルのシャンパーニュ『シャンパーニュ・ラ・トゥールダルジャン・ブラン・ド・ブラン』も気になり、不定期開催のランチは料理・雰囲気・サービスを考えるとなかなかリーズナブルだと思えてしまいます。ちょくちょく行くことはできないですが、必ず再訪したいお店です。
La Tour d’Argent
東京都千代田区紀尾井町4‐1 ホテルニューオータニ ザ・メイン ロビィ階
03-3239-3111 (フレンチ / 麹町駅、永田町駅、赤坂見附駅)
昼総合点★★★★☆ 4.9
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